生活防衛資金はいくら必要?|最初の入金まで2〜3か月の空白がある

生活防衛資金はいくら必要?|最初の入金まで2〜3か月の空白がある

貯金はいくらあれば安心なのか。調べると「生活費の3ヶ月分」「6ヶ月分」「1年分」と、答えがばらばらに出てきます。

じむにーと

どれも正しそうなんですが、結局いくら貯めればいいのか分からないんですよね。

どれも間違ってはいません。ただ、そこから自分の金額は出てきません。掛け算の片方(何ヶ月分)だけ議論していて、もう片方(1ヶ月いくらか)が空欄のままだからです。

この記事では、生活防衛資金の金額を自分の数字で出す手順をまとめます。投資の話はしません。

制度の内容は2026年9月時点で、協会けんぽ・ハローワーク・厚生労働省・金融庁の資料を確認しています。

目次

結論:「何ヶ月分」の正体は、入金までの空白期間

先に答えを書きます。生活防衛資金が埋めているのは、収入が止まってから、公的な給付が実際に振り込まれるまでの空白です。

会社を辞めても、失業給付はすぐには入りません。自己都合退職なら、最初の振込まで2〜3か月かかります。病気で休んだ場合も、傷病手当金の申請は休んだ後になるので、同じように間が空きます。

その間の生活費は、全額を自分の現金で払うことになります。ここが「何ヶ月分」と呼ばれているものの正体です。

だから考える順番はこうなります。

  1. 1ヶ月の「止められない支出」を数える
  2. 収入が止まったとき、いつ・いくら受け取れるかを知る
  3. その空白を埋める金額として、必要額が決まる

ステップ1:1ヶ月の「止められない支出」を数える

数えるのは今の生活費の全額ではありません。収入が止まっても払い続けることになる支出だけです。

止められないもの止められるもの
家賃・住宅ローン外食
水道光熱費サブスク
通信費(スマホ・回線)旅行
食費(最低限)被服
社会保険料・税金趣味
保険料積立投資
奨学金・ローンの返済
子どもの学費・保育料

右側は数えなくて大丈夫です。収入が止まった月は、どのみち先に止めることになります。

数え方

直近3ヶ月のクレジットカード明細と、口座の引き落とし履歴を並べるのが早いです。家計簿をつけていなくても、この2つでほとんど拾えます。1ヶ月分だと年払いの支出を見落とすので、3ヶ月分を並べてください。

じむにーと

止められると思っていた支出が、解約が面倒で結局固定費になっている。明細を並べるとよく見つかります。

社会保険料と税金をゼロで見積もらないこと。 仕事を辞めても、その月から支払いがなくなるわけではありません。住民税は前年の所得にかかるので、収入が途絶えた後も請求が来ます。

ステップ2:いつ・いくら受け取れるか

ここがこの記事の中心です。金額より、タイミングのほうが効いてきます。

仕事を失ったとき(雇用保険の基本手当)

退職してから最初の振込までの流れです。

自己都合で退職会社都合で退職
離職票が手元に届く退職後10日〜2週間同じ
ハローワークで求職の申込み届いてから同じ
待期7日間7日間
給付制限原則1か月なし
失業の認定原則4週間に1度同じ
振込認定日から5営業日ほど同じ
最初の振込までの目安2〜3か月1〜1.5か月
じむにーと

辞めた翌月から入ってくると思っていました。2〜3か月も空くんですね。

給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です(それ以前は原則2か月)。5年間に2回以上の自己都合退職や、重責解雇の場合は3か月になります。

受け取るには、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇などによる離職なら、離職前1年間に通算6か月以上で足ります。

病気やケガで働けないとき(傷病手当金)

連続する3日間の待期のあと、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。

金額は「支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」。手取りがそのまま出るわけではありません。期間は支給開始日から通算1年6か月です。

見落とされやすいのが入金のタイミングです。請求には事業主と医師の証明が要るので、休んだ後にまとめて申請する形になります。休み始めた月の生活費は、先に自分の現金で払うことになります。

さらに、公的保障はいくらもらえる?働けないとき月20万円と、足りない9.5万円で計算したとおり、傷病手当金をもらっている間も、社会保険料と住民税の支払いは続きます。月20万円出ても、実質の手残りは約14.5万円です。

自営業・フリーランスは前提が違う

国民健康保険では、傷病手当金は「行うことができる」給付とされています。つまりあるとは限りません。雇用保険もないので、失業給付もありません。

加入先の制度を一度確認しておいてください。

ステップ3:必要額を出す

止められない支出を月18万円と仮定して計算します。

場面空白期間必要な現金
会社都合で退職1〜1.5か月18〜27万円
自己都合で退職2〜3か月36〜54万円
病気で休職1〜2か月18〜36万円

ただし、入金が始まっても不足は続きます。失業給付は在職中の給与と同額ではありませんし、傷病手当金も3分の2です。

そこまで見込むと、「止められない支出の3ヶ月分」がかなり下限に近い数字だと分かります。月18万円なら54万円です。

じむにーと

「なんとなく100万円」が「まず54万円」に変わるだけで、手はつけやすくなります。

まずはここを最初の目標にします。届いたら、下の「厚めにしておきたい人」に当てはまるかを見て、当てはまる場合だけ積み増します。貯め終わるのを待たずに、積み立ても同時に始めて大丈夫です(資産5,000万円になるには?で、その順番を書いています)。

厚めにしておきたい人

  • 自営業・フリーランス(雇用保険がなく、傷病手当金も加入先次第)
  • 世帯の収入が1本しかない
  • 住宅ローンや教育費など、止められない支出が大きい
  • 再就職までの期間が読みにくい職種

薄めでも回りやすい人

  • 共働きで、片方の収入だけでも止められない支出をカバーできる
  • 住居費の負担が小さい
  • 会社都合での離職が想定される(給付制限がかからず、要件も緩い)

置き場所は「すぐ引き出せるか」で選ぶ

金額が決まったら、次は置き場所です。基準は1つだけ。必要になった日に、すぐ引き出せること。

金利の高さで選ばないほうがいいと考えています。引き出しに手続きや日数がかかる置き方は、この用途には向きません。

投資に回さない理由

価格が動くものに置くと「いくらあるか」が日によって変わり、必要額を計算した意味がなくなります。

それ以上に大きいのが、タイミングの問題です。仕事が減る局面は、たいてい景気が悪い局面でもあります。つまり生活防衛資金を使う場面と、相場が下がっている場面は重なりやすい。値下がりしたところで取り崩すことになりかねません。

じむにーと

使う必要が出たときに限って減っている。これが投資に回してはいけない理由です。

普段の口座とは分ける

同じ口座にあると残高として見えてしまい、気づいたら減っています。別の口座に置いて、視界から外してください。

預金保険制度(ペイオフ)

預金で持つなら、一度だけ確認しておきたいことがあります。

預金の種類保護される範囲
当座預金、利息の付かない普通預金等(決済用預金)全額
定期預金、利息の付く普通預金等(一般預金等)1金融機関ごとに元本1,000万円まで+破綻日までの利息等

生活防衛資金だけで1,000万円を超える人は多くないでしょうが、ほかの預金と合わせて超えるなら、金融機関を分けるという論点が出てきます。

つまずきやすいところ

「半年分くらいかな」と月数から入って止まるのが、いちばんよくあるパターンです。迷ったら、分母(1ヶ月の止められない支出)を出すところまで戻ってください。

数える前の見積もりは、実際より軽めに出ます。 明細を3ヶ月分並べると、想定より多いのが普通です。

そして、給付までの空白を知らないまま金額を考えてしまうこと。「最初の入金まで手元の現金だけで回す期間がある」と分かると、必要な金額が一気に具体的になります。

まとめ

  • 「何ヶ月分」から考えると止まる。先に1ヶ月の止められない支出を数える
  • 生活防衛資金の正体は、収入が止まってから給付が振り込まれるまでの空白を埋めるお金
  • 自己都合退職なら最初の振込まで2〜3か月、会社都合なら1〜1.5か月(2026年9月時点)
  • 傷病手当金は連続3日の待期のあと4日目から。金額は標準報酬月額をもとにした額の3分の2で、申請は休んだ後になる
  • 月18万円なら、まず54万円(3ヶ月分)を最初の目標に
  • 置き場所は金利ではなくすぐ引き出せるかで選ぶ。普段の口座とは分ける
  • 投資に回さない。使う場面と相場が下がる場面は重なりやすい

制度は変わります。実際に手続きをするときは、加入先の健康保険とハローワークで最新の内容を確認してください。

次に読む

参考(一次ソース)

いずれも2026年9月18日に確認しました。制度は改正されることがあるので、実際に手続きをするときは各窓口で最新の内容を確認してください。

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