投資でお金が増える仕組み|増えた分の6割は最後の10年に生まれる

投資でお金が増える仕組み|増えた分の6割は最後の10年に生まれる

株を買うと、なぜお金が増えるのでしょうか。

じむにーと

値上がりしたら売る、というのは分かるんです。 でもそれって、誰かが高く買ってくれたということですよね。ギャンブルと何が違うんでしょう。

いい質問だと思います。ここが曖昧なまま始めると、値段が下がったときに続けられません。

この記事では、増える理由を2つに分けて説明します。商品や口座の話はまだしません。

目次

結論:増える理由は2つしかない

  1. 会社が稼いだ利益の、分け前を受け取るから
  2. その分け前が、さらに働くから

1つ目が投資の土台で、2つ目が時間をかける理由です。順番に見ていきます。

株を買うとは、会社の一部を持つこと

まずここから。株式は、会社の所有権を細かく分けたものです。

1株買えば、その会社のごく一部の持ち主になります。持ち主なので、会社が稼いだ利益を受け取る権利があります。

値上がりを待つための券ではありません。会社の持ち分です。この前提が抜けると、あとの話が全部つながらなくなります。

ギャンブルとの違い:「誰かの損」が要るかどうか

さきほどの疑問に答えます。決定的に違うのは、利益がどこから来るかです。

お金の出どころ参加者全体の合計
競馬・宝くじ参加者が出したお金胴元の取り分を引いた分だけマイナス
株式会社が新しく生んだ利益会社が稼げばプラスになりうる

競馬では、誰かが当たるために誰かが外れる必要があります。参加者が出したお金を分け合っているだけなので、取り分を引けば全体では必ず減ります。

株式は違います。会社が商品を作って売り、利益を出せば、そのお金は新しく生まれたものです。誰かから取ってきたものではありません。だから持ち主全員が同時に得をすることがありえます。

じむにーと

「誰かが損しないと自分が得しない」という構造ではないんですね。 そこが気持ち悪かったんです。

もちろん、会社が赤字なら分け前はありません。全員が損をすることもあります。プラスが保証されているという話ではなく、プラスになりうる構造だという話です。

理由1:利益の分け前を受け取る

会社が利益を出したとき、その行き先は大きく2つです。

行き先何が起きるか株主から見ると
配当として配る現金が口座に振り込まれる受け取る
会社に残して次の事業に使う工場・店舗・研究に投じる会社の価値が上がる

ここが分かりにくいところなので、少し丁寧に書きます。

利益を配当で配っても、会社に残しても、株主のものであることは変わりません。 配れば現金として手元に来る。残せば会社の中で増え、会社の価値として反映されていく。受け取り方が違うだけです。

「配当をもらう投資」と「値上がりを狙う投資」は、まったく別のものに見えます。でも元をたどれば、同じ利益の受け取り方が違うだけです。

覚えておく1行

株価の値上がりも配当も、たどれば同じ「会社が稼いだ利益」から来ている。

だから投資をするときに見るべきは、値段のグラフより先に、その会社が利益を出せているかになります。

理由2:分け前がさらに働く

2つ目が、時間をかける理由です。

受け取った分け前を使わずに、また投資に回す。すると次の年は、元のお金だけでなく、増えた分も一緒に働きます。これが複利です。

100万円を年5%で置いた場合を比べます。

単利(増えた分を毎年引き出す)複利(増えた分も投資に回す)差
10年後150万円163万円13万円
20年後200万円265万円65万円
30年後250万円432万円182万円
じむにーと

10年だと13万円しか違わないのに、30年だと182万円ですか。 途中から差の開き方が変わりますね。

そうです。ここが複利のいちばん大事な性質で、効き目が後半に偏っています。

長期が効く理由は「後半」にある

毎月3万円を積み立て、年5%で運用できた場合を10年ごとに区切ります。見るのは運用で増えた分だけです(自分で入れたお金は除いています)。

期間その10年で生まれた運用益
0〜10年目106万円
10〜20年目407万円
20〜30年目904万円

積み立てている金額は、どの10年も同じ月3万円です。それなのに、最後の10年だけで904万円。

30年間の運用益は合計1,417万円なので、その64%が最後の10年に生まれたことになります。

図にするとこうなります。下の濃い部分が自分で入れたお金、上の薄い部分が運用で増えた分です。

自分で入れたお金と、運用で増えた分
自分で入れたお金と、運用で増えた分

自分で入れたお金は、毎月同じ額なのでまっすぐ伸びます。増えているのは上の部分だけです。そして上の部分が膨らみ始めるのは、後半に入ってからです。

じむにーと

だから「長期で」と言われます。精神論ではなく、後半にならないと効かない仕組みだからです。

逆に言うと、最初の10年は退屈です。 増え方が地味で、やっている意味が感じられない時期があります。

ここでやめてしまうと、いちばん効く時間帯に入る前に降りることになります。投資を始める前に確認する3つのことで「途中でやめずに済むか」を最優先にしたのは、これが理由です。

利率を変えても同じ

「年5%」という前提を疑う人もいると思います。変えてみます。

想定した年率30年後の合計うち運用益運用益のうち最後の10年
年3%1,748万円668万円60%
年5%2,497万円1,417万円64%
年7%3,660万円2,580万円67%

金額はまったく違いますが、「増えた分の6割以上が最後の10年に生まれる」という形は変わりません。利率が高いほど、むしろ後半への偏りは強くなります。

つまりこれは、利回りの予想が当たるかどうかの話ではありません。複利という計算そのものの性質です。

ただし、直線では増えない

ここまでの表は「その利率で運用できた場合」の計算です。毎年きっちり5%ずつ増える、という意味ではありません。

実際は、増える年もあれば減る年もあり、ならすと3%だった、という形になります。途中では元本を割ります。

そして下がったあとは、下がった率と同じだけ上がっても元には戻りません。

下落元の値段に戻るのに必要な上昇
−10%+11%
−20%+25%
−34%+52%
−50%+100%

半分になったら、倍にならないと戻りません。

じむにーと

だから「下がったら売る」を繰り返すと、戻る前に何度も損を確定させることになります。

この性質と、さきほどの「後半に効く」を合わせると、結論はひとつです。売らずに持ち続けられる状態を作る。 それが余剰資金で始める理由でした。

「株の平均リターンは年7%」の正体

調べていると、年3%、年5%、年7%、年10%と、ばらばらの数字が出てきます。どれも間違いではありません。測っているものが違うだけです。

何を指した数字か年率の目安
米国株・配当込み・物価の影響を除く前(名目)約10%
米国株・物価の影響を除いた後(実質)約7%
全世界株・物価の影響を除いた後(実質)約5%

よく言われる「平均7%」は、米国株の、物価の影響を除いたあとの数字です。名目なら10%になります。

違いは2か所です。

1つ目は、物価を引く前か後か。名目10%の年でも、物価が3%上がっていれば、買えるものが増えた分は7%です。増えた金額を見るなら名目、生活がどれだけ楽になったかを見るなら実質になります。

2つ目は、米国だけか世界全体か。上の表のとおり、米国株の実績は世界全体より高く出ます。ただしこれは過去の結果であって、今後も米国が世界を上回るかどうかは別の話です。

いずれも期間の取り方で変わります。「何年から何年までの、どこの、どちらの数字か」がセットで書かれていない利回りは、比べる相手になりません。

この記事で年5%を使った理由

全世界株に分散した場合の、物価の影響を除いたあとの水準に近いからです。世界全体に投資する人にとっては、控えめすぎず、盛りすぎない位置にあります。

利回りの数字を見たときに確認するのは、この2つです。

  1. 物価を引く前か、引いた後か
  2. 米国だけか、世界全体か

ここを揃えずに比べると、同じ投資先の話なのに数字が倍近く違って見えます。

そのうえで

  • どの数字も保証されたものではありません。 将来の利回りは誰にも分かりません
  • マイナスの年は普通にあります。何年も続けてマイナスのこともあります
  • 記事中の金額は、あくまで「その利回りだったら」という計算例です

金融庁のサイトに、自分で条件を変えて試せるシミュレーターがあります。月々の金額・年数・利率を自分の数字に入れ替えて見てみてください。

なお実質で考えるなら、インフレで預金はどうなる?の話がそのまま効いてきます。名目の数字を見ているときは、そこから物価上昇分を引いた残りが、実際に買えるものの増え方です。

まとめ

  • 投資でお金が増える理由は2つ。会社の利益の分け前と、その分け前がさらに働くこと
  • ギャンブルとの違いは、利益が「参加者のお金の分け合い」ではなく「会社が新しく生んだもの」であること。だから全員が同時に得をしうる
  • 配当も値上がりも、たどれば同じ会社の利益。受け取り方が違うだけ
  • 複利は効き目が後半に偏る。100万円・年5%だと、単利との差は10年で13万円、30年で182万円
  • 毎月3万円・年5%なら、30年間の運用益1,417万円のうち904万円(64%)が最後の10年に生まれる
  • これは年3%でも7%でも同じ(60%/67%)。利回りの予想が当たるかどうかではなく、複利の計算そのものの性質
  • だから最初の10年は退屈。ここでやめると、いちばん効く時間帯の前に降りることになる
  • 直線では増えない。−50%からは+100%ないと戻らない。売らずに持てる状態を作ることが前提
  • 「平均7%」は米国株の、物価を引いたあとの数字。名目なら10%、全世界株の実質なら5%前後
  • どの数字も保証ではなく計算例。マイナスの年はある

仕組みが分かったら、次は「では何を買うのか」です。

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参考(一次ソース)

いずれも2026年9月26日に確認しました。

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