投資の話をしていると必ず出てくるのがNISAです。
じむにーとお得らしいというのは聞くんですが、結局なにがどうお得なのか説明できません。
一言でいうと、利益にかかる税金がゼロになる口座です。
この記事では、その「ゼロ」がいくらぶんなのかを計算して、制度の中身を整理します。制度の内容は2026年9月時点のものです。
はじめての人へ:NISAの5つの疑問
投資をしたことがない人が最初につまずく疑問に、先に答えておきます。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 何を買うの? | 「投資信託」が基本です。たくさんの会社の株をまとめて買える商品で、1本買うだけで世界中の数千社に投資できます(インデックス投資とは) |
| いくらから始められる? | 楽天証券やSBI証券では、投資信託の積立は月100円から設定できます |
| 損することはある? | あります。元本保証ではないので、売るときの値段が買った値段より低ければ損をします。長く持つほど、損をする可能性は下がってきました(NISAで元本割れする確率は?) |
| お金はいつでも引き出せる? | 売ればいつでも現金にできます。何年持たないといけない、という決まりはありません |
| 確定申告は必要? | NISA口座の中で出た利益には税金がかからないので、確定申告はいりません |
最初は「投資信託を、月100円からでも買える、税金のかからない口座」とだけ覚えておけば十分です。
結論:本来なら利益の20.315%が引かれる
まず前提から。投資で利益が出ると、そこに税金がかかります。
| 税率 | |
|---|---|
| 所得税 | 15% |
| 復興特別所得税 | 0.315% |
| 住民税 | 5% |
| 合計 | 20.315% |
10万円の利益が出たら、手元に残るのは約7万9,700円です。
この税金がかからないのがNISA口座です。
利益が出ても、20.315%が引かれない口座。
いくら得なのか
投資でお金が増える仕組みで使った例で計算します。毎月3万円を30年、年5%で運用できた場合です。
| 金額 | |
|---|---|
| 30年後の資産 | 2,497万円 |
| 自分で入れたお金 | 1,080万円 |
| 運用で増えた分 | 1,417万円 |
| 本来かかる税金(1,417万円 × 20.315%) | 288万円 |
じむにーと288万円ですか。 手続きをするかしないかだけで、それだけ変わるんですね。
NISA口座で買っていれば、この288万円はかかりません。口座を選ぶだけで結果が変わる数少ない部分です。
なお、この金額は年5%で運用できた場合の計算例です。利益が出なければ税金もかからないので、得もしません。
2つの投資枠
NISAには枠が2つあり、両方同時に使えます。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間に投資できる額 | 120万円 | 240万円 |
| 買えるもの | 金融庁の基準を満たした投資信託など | 上場株式・投資信託など(一部除外あり) |
| 買い方 | 積立のみ | 積立・一括どちらも |
2つ合わせて、年間360万円まで投資できます。
この記事の読者に関係があるのは、ほぼつみたて投資枠です。年120万円=月10万円まで積み立てられるので、最初のうちはここだけで足ります。
つみたて投資枠で買える商品は、金融庁が長期の積立・分散投資に向くという基準で絞り込んだものに限られています。手数料が高い商品や、仕組みが複雑な商品は入っていません。
じむにーと最初から選択肢が絞られているんですね。 それはむしろ助かります。
1,800万円という上限
年間の枠とは別に、生涯で投資できる合計額が決まっています。
| 上限 | |
|---|---|
| 生涯投資枠(合計) | 1,800万円 |
| うち成長投資枠で使える分 | 1,200万円まで |
つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることもできます。逆に、成長投資枠だけで1,800万円にすることはできません。
埋まるまでの年数はこうなります。
| 毎月の積立額 | 1,800万円に達するまで |
|---|---|
| 3万円 | 50年 |
| 5万円 | 30年 |
| 10万円 | 15年 |
つまり、月3万円や5万円で積み立てる人にとって、この上限を気にする場面はほぼ来ません。「1,800万円も入れられない」と心配する必要はありません。
じむにーと上限は「そこまで入れないといけない額」ではなく、「そこまでなら入れていい額」です。
売ったら枠が戻る
ここが以前の制度と大きく違う点です。
NISAで買ったものを売ると、その商品を買ったときの金額のぶん、翌年に枠が復活します。
たとえば100万円で買ったものが150万円になり、それを売った場合。復活するのは買ったときの100万円ぶんです。増えた50万円は枠を使いません。
家の購入など、まとまったお金が必要になったときに売っても、枠を失わずに済みます。
期限がない
以前の制度には非課税期間の期限がありましたが、いまはありません。
- 非課税で保有できる期間:無期限
- 口座を開ける期間:恒久化
いつ始めても、何年持っていても大丈夫です。
知っておく注意点
いいことだけではないので、4つ挙げます。
1. 損失が出たときに救済されない
課税口座なら、ある商品の損失と別の商品の利益を相殺できます(損益通算)。損失を翌年以降に繰り越すこともできます。
NISA口座ではどちらもできません。 利益が非課税なかわりに、損失もなかったことになります。
じむにーと非課税は利益が出たときだけの話です。損をしたときは、むしろ不利になります。
2. 1人1口座
複数の金融機関で同時に持つことはできません。年単位で変更はできますが、手続きに時間がかかります。
どこで開くかは証券口座の開き方で扱います。
3. 年間の未使用分は繰り越せない
年120万円の枠を今年60万円しか使わなくても、来年180万円にはなりません。使わなかった分は消えます。
ただし生涯枠1,800万円は残るので、急ぐ必要はありません。
4. 制度が目的ではない
NISAは器です。中身が増えなければ意味がありません。
「NISAを始めた」で終わらせず、何を、いくらずつ買うかまで決めてください。それが次の2本のテーマです。
つまずきやすいところ
「NISAは元本保証」ではない
税金がかからないだけです。買ったものが値下がりすれば、同じように減ります。
「枠を使い切らないともったいない」ではない
無理に金額を増やす必要はありません。生涯枠は1,800万円あり、期限もありません。
金額は家計から決めます。毎月いくら積み立てるかで逆算します。
「とりあえず開設だけ」でも意味はある
口座を開いても、買わなければ何も起きません。ただ、開設には時間がかかることがあるので、先に済ませておくのは合理的です。
まとめ
- NISAは利益にかかる20.315%の税金がゼロになる口座
- 毎月3万円・30年・年5%なら、本来の税金288万円がかからない計算になる
- 枠は2つ。つみたて投資枠 年120万円/成長投資枠 年240万円。両方使えて合計年360万円
- 初心者が使うのはほぼつみたて投資枠。金融庁の基準で商品が絞られている
- 生涯枠は1,800万円。月3万円なら50年かかるので、上限を気にする場面はほぼ来ない
- 売ったら、買ったときの金額ぶんの枠が翌年に復活する
- 非課税期間は無期限、制度は恒久化
- 🔴 注意4つ。損益通算・繰越控除ができない/1人1口座/年間の未使用分は繰り越せない/制度は器にすぎない
- 元本保証ではない。枠を使い切る必要もない
制度が分かったら、次は口座を開きます。
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次に読む
- 証券口座の開き方|インデックスを積むだけなら、どこでも大差ない 次に読む記事です。何を準備して、どこで開くかをまとめました
- 積立投資が向いている理由|価格が元に戻っただけで利益が出る つみたて投資枠で何をするのか。その中身です
- 投資でお金が増える仕組み|増えた分の6割は最後の10年に生まれる この記事の288万円の元になった計算です
- 投資のはじめ方まとめ|口座を開いて最初の1本を買うまでの9ステップ この記事を含む9本を、読む順番に並べた全体の地図です
参考(一次ソース)
いずれも2026年9月26日に確認しました。制度は改正されることがあります。 実際に口座を開くときは、金融庁と利用する金融機関の最新の案内を確認してください。
- 金融庁「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/products/
- 国税庁「NISA(少額投資非課税制度)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
- 国税庁「株式・配当・利子と税」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_3.htm
- 楽天証券「投信積立」(月100円から) https://www.rakuten-sec.co.jp/web/rfund/saving/
- SBI証券「100円からはじめられる投資信託」 https://go.sbisec.co.jp/lp/fundxyoung_230907.html
